経済至上と利己主義

近頃話題の構造計算書偽造事件。 市川市に住む私にとっては、「へー、同じ市内に姉歯事務所があるのかー。」程度に捉えていたのだけれど、施工主として木村建設が関与していたことを知り驚いた。
私の出身は八代市。 木村建設は、熊本県内で大手の建設会社であり、県下では有名な企業だった。 それが最悪のイメージでもって全国に知られることになってしまった。 自業自得ではあるが。
さて、今回の騒動で事実上倒産した木村建設だが、着工中の建物を放置しているらしい。 実家の近くで建設中だった物件もそのまま凍結。 どうするんだろ?

  • もし今、地震が来たら?

欠陥マンションの住民へのインタビューで「不安で眠れません。」と答えている人がいたけど、まだ住んでるんだよね? もしも、今、震度3程度の地震が起きたとしたら、そんな寝言みたいなコトは言ってられないと思うよ。 速攻でビジネスホテルや体育館での仮住まいを始めるだろうね。 「宿泊費とか引越し代とか気にしてる場合ぢゃない!」って。

  • 何が不満か?

震度7強の地震が起きたら普通のマンションでも倒壊する恐れはあるだろう。 欠陥マンションの住民にとって何が不満かと言うと、「震度5でウチだけ倒壊するのは不公平だ!」という気持ちが少なからずあるのではないか?

  • 安さに目が眩むと

今回の事件、姉歯建築士を含めた関係者が悪いことは当然として、買う側=マンション住民側に問題はなかったのだろうか? 事前に入念なチェックはしなかったのか? チェックできなかったのはナゼか? 相場価格に比べて格安だったことに疑問は抱かなかったのか?
結局、数百万円をケチったがために数千万円を損したことになるのではないか?

  • 拝金主義

悪徳デベロッパーの論理としては、「この建物、真面目に造ったら10億円かかるけど、偽造して部材を抜いて造ったら7億で出来るなあ。よし、マジメに造ったことにして3億まる儲けだ!」
売り側:安く造って「お金を浮かせたい」


マンション購入者の論理としては、「この物件、フツーの相場より1000万円も安いわあ♪これならローンも組みやすいし、頭金だって少し減らせるかも?システムキッチンもカワイイしぃ。」
買い側:安く買って「お金を浮かせたい」

経済的には、それは正しいのかもしれない。

  • バレた時のリスク

偽造がバレた時のリスク(=経営的なダメージ)なんて考えてなかったんだろうね。 目先の利益だけしか見ていなくて。 ましてや、「地震が発生したら死者が出るかもしれない。」という想像力も働かなかったのか。 現場で工事していた人達も気づかなかったのか!?
殺人未遂の確信犯を援助するために公的資金を投入するのは納得できないが、欠陥マンションの住民を助けるために使われる税金なら仕方ない面もあるだろう。

  • ウソをついてはいけません

建築士・施工主・建設主・民間の検査会社と、それぞれ関係者の会見を見ていると、知らぬ存ぜずで、誰かがウソをついているのは確実。 これぢゃあ、「ウソをついてはいけません。」って、子供に言えないよねえ?

  • 本当に大事なもの

「大切なものは目に見えない」とは、星の王子さまの有名なセリフ。 目に見えないもの=安心や信頼、そして生命こそが本当に大事なのだと思える世の中になって欲しい。 いや、思うだけではなく、心から信じて、「目に見えないものこそ大切なんだ。」と、本気で言える社会になって欲しい。

物質の神霊:アーリマンと欲望の悪魔:ルシファーに支配された人間の心を真の自由へと解放することができるのは、他ならぬ人間自身なのだから。

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