文化庁のWebサイト

日本橋無断リンク禁止事件から再発したと思われる近頃の無断リンク禁止問答をしばらく見ていた。

これに関連して、学校が運営するWebサイトに対するリンク許可の遣り取りにおいて、教職員の側(がわ)にも著作権ハイパーリンクについての誤解があるらしい。

  • 文化庁Webサイトを確認してみよう

著作権とリンク(インターネット)の関係について、文化庁の見解を「著作権なるほど質問箱」のコーナーで確認してみる。

【利用者の立場から見た、著作権と引用】

著作権なるほど質問箱より

著作物を利用したい側からの質問と、文化庁の回答。

Q.「個人・家庭内における利用について教えてください。」→「インターネット」

  • リンク集を作成する場合の著作権問題


一般的に著作権の問題はありません。他のホ−ムペ−ジにすぐ移れるようにリンクを張ることは、リンク先のホ−ムペ−ジのネット上の「住所」を示すだけで、それを複製したり公衆送信したりするものではないからです。

リンクを張ること自体に著作権の問題はありません。


Q.「図書館・視聴覚ライブラリーにおける利用について教えてください。」→「その他」

  • 紹介リンクを貼る(≒張る)場合の著作権問題


 (前略)
なお、他のホームページにリンクをはる行為は、著作権の問題は生じないので、例えば出版社のホームページに書評が載っている場合にリンクをはって、読者の便を図ることはできます。

Webサイト内の特定のページ(書評欄など)に直接リンクを張ることについて、著作権の問題はありません。


Q.「著作物の利用について一般的なことを教えてください。」→「著作物の利用と契約」

  • 他人の著作物を私的利用する際の著作権問題


[1]インターネットで他人の著作物を入手し、自分でそれを私的に複製利用することは自由です。しかし、それを複製し配布するなど私的利用の範囲を超えて利用することは認められません。自分のホームページに取り込んで利用することもできません。

他人の著作物を私的にコピーして個人利用することは可能ですが、それを周囲に配布したりWebサイトで公開することは著作権の侵害となります。(この意味では、YouTube著作権法に抵触していることになるでしょう。)

【引用について】

著作権なるほど質問箱より

Q.「著作物の利用について一般的なことを教えてください。」→「引用」

  • 転載禁止のWebサイトからの引用について


公表された著作物は「引用」して利用することができます(第32条第1項)ので、この規定に該当する利用であれば、仮に「禁転載」等の表示があったとしても、著作権侵害にはなりません。

転載禁止!と書いてあるWebサイトからの引用は可能です。 なお、「引用」と「転載」は意味が違うので注意してください。



  • 引用する際の出典の明示方法について


著作権法に定められた要件を満たしていれば著作権者の了解なしに著作物を利用することができます(第32条)。この法律の要件の1つに、引用される著作物の出所の明示を(中略)義務付けています(第48条)。
 (中略)
引用部分を明確化するとともに、引用した著作物の題名、著作者名などが読者・視聴者等が容易に分かるようにする必要があると思われます。

引用の場合、著作権者の承諾は不要です。 引用する際は、引用元の出典を明記し、どこからどこまでが引用部分なのかをハッキリさせましょう。



無断リンク拒否者の方々へ】

無断リンク禁止!」と主張し、(事前・事後の)断りのないリンクを拒絶している方(かた)へ向けて

  • 耳を塞いで「あーっ!」と叫んでいる人には声が届かない


耳を塞いで「あー」と言っているひとには声は届かない

まさか学校の先生方まで、耳を塞いで「あー!」と叫んでいるとは思いたくないけど、学校のWebサイト上に「無断リンク禁止」と掲げることはナンセンスだということを知ってほしい。 もし、リスク回避が目的なのであれば、「無断リンク禁止」の主張は逆にリスキーだ。
無名の個人である私(=takopons)の言うことは聞いてもらえなくても、中央省庁である文化庁の情報なら耳を傾けてくれるかもしれない。



許可してください - 無断リンクは是か非か
S嬢のPC日記:「無断リンク論争」の余波
prima materia diary - 夢幻魔美也氏の帰還, nested class 再び, 無断リンク 私がたどった路



  • 関連記事

「で、みちアキはどうするの?」-みんな大好き無断リンク
不備日報: 無断リンク問題の根本的解決方法をついさっき思いつきました
むだづかいにっき♂:「学校のウェブサイト無断リンク禁止」の理由が、「子供を守る為」という大ウソ
奥様、鼻毛が出ておりますことよ - 批判の批判の批判
不倒城: 「正論」の暴力性について。
むぎむぎ - 公立学校にウェブサイトは運営できない



  • 追記

2006年7月28日、加筆・修正しました。

  • 関連記事

takoponsの意味 - 日本橋無断リンク事件を振り返る