無神論のこと

  • あらすじ

「新しい無神論者」についての記事をUPされたmacskaさんは、記事に寄せられたはてなブックマーク・コメントに対して1つ1つ返事を書いておられました。その返事の中に、


それにしても、これだけブックマークがつき、アツいブクマコメントまでついているのに、コメント欄に誰も何も書かないのはどうしてだろう。そんなに敷居高いですか?
とのmacskaさんからの問いかけを拝見したtakoponsは、直接コメント欄での遣り取りに臨んだのであったが……*1



これまでのあなたの発言は、不誠実で失礼です。たとえば、「言葉の意味をすり替えている」という批判にまったく反論しようともせず、「macskaさんは〜ということにしておきたいのでしょうか」とか、「macskaさんは〜という人なのではないでしょうか」と人格攻撃をするのは、そうした不誠実かつ失礼な行為の一環です。まぁ、もしかしたら不誠実なのではなく、ただ単にあなたの能力の問題でまともに議論に応じられないだけという可能性もありますが。

私は直前のコメントで、『1つ、確認させてください。macskaさんは、「takoponsは不誠実で失礼な人間である」ということにしておきたいのでしょうか?』と質問しました。この質問に対するmacskaさんからの回答を待って、その後の議論に応じようとしていた可能性は考えられなかったのでしょうか?
takoponsの能力の問題でまともに議論に応じられないだけ、という可能性より、「macskaさんからの回答を得てから(回答内容に応じて)コメントしよう」と私が考えていた可能性のほうが、可能性としては高いと思います。
「ただ単にtakoponsの能力の問題でまともに議論に応じられないだけ」といった回答をいただいた私は、「しばらく時間を置いたほうが良いなー」と思って放置してました。今ここで、放置していた話を再開いたします。



あのですね、あなたは「幻想」とか「信頼」とかいう言葉を、貨幣について言うときと、神について言う時で、違った定義で使っているのに気がついていませんか? それが同じ意味であるかのようなふりをするのは不誠実ですよ。

確かに、貨幣は現実に存在します。紙幣や硬貨も現実に有ります。現在、私もほんの少しだけ日本銀行券と硬貨を所有しています。
ただし、貨幣制度というものは国家への信頼や銀行への信頼、そして貨幣の価値(観)を人と人とが互いに共有し信頼し合っていることが前提です。もし万一、これらの信頼が失われてしまったとしたら、紙幣は肖像画と数字の印刷された紙切れとなり、硬貨は金属の塊となり、通帳はインクで書かれた文字列の冊子となり、銀行基幹システムのデータは単なるビット列となります。土台となる国家や前提となる信頼――貨幣制度の根幹――が崩れ去った時、貨幣は幻想になるのです。*2 *3
上記のような条件付きではありますが、「幻想」も「信頼」も、貨幣について言うときも神について言う時も、それぞれ同じ意味で使っているつもりです。逆に伺いますが、「違った定義で使っている」とは、いったいどのように違っているのですか? もしよろしければ教えていただきたいです。

  • goo辞書
    • げんそう ―さう【幻想】
      現実にないことを思い描くこと。また、その思い。
      「―をいだく」
    • しんらい【信頼】
      信じて頼ること。
      「人を―する」「―を裏切る」「―性」「―度が高い」「―が置けない」



だいたい、「お金さえあればどんな困難も克服できる」とか、「金は確実に信頼できる」とか、よほどの変人以外は世界中の誰も賛成しないような極端な思想を持ち出して、勝手に「あなたはそう思っているのではないか」なんて、まったく失礼な話です。

macskaさんが「金は確実に信頼できる」と考えるようなお方ではない、ということは分かりました。
ですが、お金で人が変わることはあると思いますし、「金は確実に信頼できる」と考えている人は少なくないと思うので、「よほどの変人以外は世界中の誰も賛成しないような極端な思想」とは私は思いません。お金だけを信じて人間を信じない(裏切る)ことによって起きた事件は、新聞・ニュース等をご覧になっていれば目にすることと存じます。
macskaさんは、「お金さえあればどんな困難も克服できる」とか「金は確実に信頼できる」とかいう考えは世界中の誰も賛成しないような極端な思想であり、よほどの変人だけが賛同するおかしな思想である、とお考えなのですか?



国家に実体がないとも言いますが、現実の国家は国土や国民を持ち、政府や軍隊などさまざまな組織を抱えています。そうした実体を持つからこそ、国家は実権を行使できるのです。あなたがただどこかに線を引いて「ここは俺たちの領土である」と宣言したからといって、それだけで実権を行使することはできません。

はい。勝手に宣言するだけでは実権を行使できないでしょう。私は直前のコメントで、『誰かが地面に線を引いて「ここは俺たちの領土である」と宣言し、周囲の人たちもそれを認めたから「国という概念」が生まれた』と書きました。誰かが「ここを○○国とする!」と宣言しただけではダメで、周囲の人たち(国・地域)からの承認を得ること、周囲を認めさせることが必要だと思います。*4
話は逸れますが、国境(の概念)が原則的に存在しないインターネットを見ていると、「国って何なんだろうなー」と思います。インターネットにあるのは、言語の壁とアクセス制限くらいでしょうか。

  • 不誠実のこと

いいちこさんのコメント↓


信仰者にとって信仰は思い込みでなくて彼らの中の真実です
現実的には「思い込み」になりますが信仰者がそれを信じていればそれでいいと思います

macskaさんの言う

>「科学は生きる意味を解明できない」と言われても、宗教ならそれが解明できるとも思えない(せいぜい何らかの思い込みを持つことができるだけだ)。

とは具体的に何を言っているのでしょうか?

上記の
>せいぜい何らかの思い込みを持つことができるだけだ

の箇所は「信仰者でない人から見れば思い込みでしかない」という意味ではないのですか?

macskaさんのコメント↓


だからですね、「信仰者がそれを信じていればそれでいい」というのは第三者だから言えることであって、信仰者本人の視点からは「現実的には思い込みだけど、わたしの中で真実だからそれでいい」とは言えないのです。
 「信仰者でない人から見れば思い込みでしかない」という言い換えは、視点によって真実が変わるような問題以外では不誠実です。たとえば、イエスが神の子であるかないか、どちらか一方が正しいはずで、信仰するなら神の子だけれど信仰しなければそうではないということはありえない。信仰しようとしまいと、真実はどちらか一つでしょう。

私は、いいちこさんのコメント(「信仰者でない人から見れば思い込みでしかない」という言い換え)が不誠実とは思いません。「○○という意味ではないのですか?」と質問されたら、Yes/Noで回答すれば済む話でしょう。
ある事柄についての認識を一致・共有する場合、別の表現に置き換えて「それは○○という意味ですか?」と確認するのは、誤解を減らすための誠実な行為だと私は思います。
なぜ、「信仰者でない人から見れば思い込みでしかない」という言い換えが不誠実なのですか?

  • goo辞書
    • せいじつ【誠実】
      偽りがなく、まじめなこと。真心が感じられるさま。
      不誠実
    • しんじつ【真実】
      (1)うそいつわりのないこと。ほんとうのこと。また、そのさま。
      「―を語る」「―の恋」「私に取つては、あなたが、一番―な友人でゐらつしやるのだから/人形の家(抱月)」
      (2)〔仏〕 絶対の真理。
      • いいちこさんもmacskaさんも、真実という言葉を「絶対の真理」の意味で使っておられると思います。
  • 疑問点まとめ
  1. 私は『1つ、確認させてください。macskaさんは、「takoponsは不誠実で失礼な人間である」ということにしておきたいのでしょうか?』と質問しました。この質問に対するmacskaさんからの回答を待って、その後の議論に応じようとしていた可能性は考えられなかったのでしょうか?
  2. 「幻想」と「信頼」を「違った定義で使っている」とは、いったいどのように違っているのですか?
  3. macskaさんは、「お金さえあればどんな困難も克服できる」とか「金は確実に信頼できる」とかいう考えは世界中の誰も賛成しないような極端な思想であり、よほどの変人だけが賛同するおかしな思想である、とお考えなのですか?
  4. なぜ、「信仰者でない人から見れば思い込みでしかない」という言い換えが不誠実なのですか?
  • 参考
  1. macska dot org » Blog Archive » 米国を席巻する「新しい無神論者」の非寛容と、ほんの少しの希望 はてなブックマーク
  2. 「新しい無神論者」エントリのブクマコメントに一斉お応え - *minx* [macska dot org in exile] はてなブックマーク
  3. 「新しい無神論者」エントリのブクマコメントに一斉お応え(2) - *minx* [macska dot org in exile] はてなブックマーク
  4. 「新しい無神論者」エントリのブクマコメントに一斉お応え(3) - *minx* [macska dot org in exile] はてなブックマーク
  5. ひきつづき「新しい無神論者」エントリへのコメントにお応え - *minx* [macska dot org in exile] はてなブックマーク
  6. ひきつづき「新しい無神論者」エントリへのコメントにお応え(2) - *minx* [macska dot org in exile] はてなブックマーク
  7. 創造科学の無限後退 - *minx* [macska dot org in exile] はてなブックマーク
  8. フランシス・コリンズ『The Language of God』読書メモ - *minx* [macska dot org in exile] はてなブックマーク
  9. 無神論グループの議論テーマ - *minx* [macska dot org in exile] はてなブックマーク

*1:ちなみに、初めての訪問に躊躇することを「敷居が高い」と表現するのは誤用。でも近ごろは、「なんだか入りにくい雰囲気がある」「参入障壁」の意味で「敷居が高い」を用いる例を見かける。言葉の変遷。

*2:逆に言うと、自分の持っているお金の価値を守り、貨幣を幻想にしないためには、国家経済の維持が必要となる。

*3:もし貨幣制度というシステムが消えても、物質としての貨幣は残るだろう。貝塚のように。(貝塚の貝殻は、貨幣としての貝ではなく、食用。)

*4:でも日本は、北方領土竹島尖閣諸島東シナ海のガス田などの問題において、周囲を認めさせることに失敗していると思う。周辺国との領有権争いは、黙っていたり小声でささやいたりしても解決しない。領有権に対する本気度の違いで言うと、ロシアから「北海道も我が国の領土だ!」とか、中国や韓国から「九州・沖縄も我が国の領土だ!」とか言われたら日本も本気になるのかな? この話は本題ではないので以上。